ポッドキャストでは、M&Aのダイナミックな世界をわかりやすく解説しています。ナビゲーターの清水と佐藤さんが、今週の重要なM&A案件を専門的な視点から分析し、その意義や今後の展望について語っています。ぜひお聴きください!
今週の主要M&A動向
1. 日本製鉄によるUSスチール買収完了
- 買収額: 約142億ドル(約2兆円)
- 経緯: 2023年12月に買収発表後、米国内で政治問題化
- 注目点: 経営権に関わる「黄金株」を米政府に提供する条件で合意
- 今後の展開: 2028年までに総額110億ドル(約1兆6000億円)の追加投資を計画
2. 韓国クラフトンによるADKの買収
- 買収額: 約750億円
- 背景: 『PUBG』で知られるクラフトンが日本の広告・アニメ制作大手を買収
- 狙い: ゲームIPのアニメ展開など、エンターテインメント事業の多角化
- 注目点: 「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」など国民的アニメのノウハウ獲得
3. DDグループのMBO(経営陣による自社買収)
- 買収額: 約310億円(TOB価格:1株1700円)
- 実施主体: ポラリス・キャピタル・グループと経営陣
- 目的: 短期的な株式市場の評価から離れ、経営の柔軟性を向上
- 今後の戦略: DXの推進、海外再進出など長期的視点での改革
4. バローHDによるドミー完全子会社化
- 買収額: 約51億円(TOB価格:1株1917円)
- 背景: 愛知県三河地域を中心に33店舗展開するドミーの完全子会社化
- シナジー: PB商品の導入拡大、共同調達や物流の効率化によるコスト削減
5. その他注目のM&A
- ミガロHD: システム受託開発のユー・システム・クリエイションを子会社化
- じげん: 薬剤師人材紹介事業のエニーキャリアを約29億円で子会社化
- 昭和パックス: 子会社の昭友商事を吸収合併
- レンゴー: イタリアの段ボール製造スカート社を買収
市場動向
今週のM&Aでは、グローバル展開を強化する大型クロスボーダー案件から、業界再編を促す国内企業間の買収まで多岐にわたる動きが見られました。特に「黄金株」を用いた日本製鉄の米国進出は、経済安全保障という現代的課題への一つの解決策を示しています。また、ゲームとアニメというIPを軸にした異業種連携や、上場廃止を選択するMBOなど、各社が多様な成長戦略を模索していることが浮き彫りになりました。

